能楽の歴史年表を5つに分けて整理しました。
 最初は、能楽の弥生時代から奈良時代における年表です。
 この時期は、中国から渡来した散楽から能の原型である猿楽が誕生した時期です。このくらい時代が古いと、はっきりと解らないことが多いのですが、逆に、古代の能の世界に創造が膨らむ時期でもあります。

 とくに、能の元となる芸が「いつ、誰の手により日本に到来したか」という点は興味深い論点のひとつでしょう。そして、その手掛かりとなるのが日本と中国を往き来した使者達や渡来人です。
 そして、その渡来人の正体は、いったい、どんな人たちだったのか……?
 いや、能を持ち帰ったのは渡来人ではなく、日本からの使者かもしれません。
 さらに、その人々はどの時代を生きたのか……?
 遣隋使の時代なのか、遣唐使の時代なのか、あるいは卑弥呼が送った使者なのか……?
 そういった疑問について手元の資料だけでみてみると、最も古い時代の手掛かりがありました。そして、その人物は、現在の金春流の始祖といわれる秦河勝(はたかわかつ)でした。
 信憑性は判然としませんが、その説では、能の起源を持ち込んだのは、秦氏の祖といわれる弓月(ゆみつき)君ということになります。
  すると、能の起源は、紀元前に栄えた秦王国の時代に関係するのか──?、という疑問と創造が膨らみます。